2003年3月11日火曜日

2003.03.11 土浦市立博物館 榎陽介さんのお話し

 2003.03.11 土浦市立博物館で学芸員をなさっていた民族学専門の榎陽介さんにお話しを伺いました。聞き取りによる民俗調査の豊富な経験をお持ちの榎さんのお話しはたいへん具体的で参考になりました。

  • 「里山の暮らしは」民俗誌といえるものだが、民俗誌というものは、データとしての意味と、読む人が読みやすく、得るところがあるという意味がある。
  • データとして考えた場合、どれだけ、1つのことがらを細部まで聞いて分厚く伝えるかが大切である。
  • 今回の「里山の暮らし」の場合、生物関係はイラストなども豊富でわかりやすい。”なあば”のはきかたや、今は行われていない”盆綱”を図で示したのはよかった。
  • 民俗語彙などについてはもっときちんと聞いておいたほうがよいところがある。
  • データとしては、あまり意味がなくても、具体的な細部があってこそ、読み手に伝わるということもある。聞く側は、そのことを伺うつもりでなくても、話し手が語りたいことを語ってくださる場合があるが、1人の生き方から1つの地域のある時代(土浦の昭和時代)がわかってくるということがいえるので、それは、しっかり聞く意味がある。また、話の横道にそれたことから、大事なテーマがでてくることもある。
  • 自分からどんどん語ってくださらない方から伺うときは聞き手が確かめたい内容がきちんとあることが必要となる。(例えば年中行事などは1つ1つ確かめる)
  • 農業のことを調べる方法は、まず、稲作について、作業の順をおって、きちんと聞いていく。
  • 畑作は、場所、時期により作物にも変化があり、とらえにくい面があるが、どんなものを食べたか思い出してもらい、そこから作り方などを聞いていくこともできる。
  • 農具は実際のものを博物館で見たり、農具屋で見たりするとよいのではないか。