聞き書き 里山のくらし


聞き書き 里山の暮らし -土浦市宍塚-
(残念ながら、現在絶版です。図書館などで御覧ください。)


1999年11月
 私たちは、会発足当初から地元の方々のお話しを伺い、会報などでそのつど記録を残してきました。1998年からは歴史部会を作り、聞き書きや資料の収集を行っています。何回も時間をさいて、たくさんの話しを語ってくださったり、貴重な品を取り出して見せてくださったり、一緒に歩いて地名を教えてくださったり、多くの地元の方々のご協力をいただくことができました。さらに今後も進めていくつもりですが、まず、これまでのものをまとめました。

 この冊子が先祖のくらしの歴史をふりかえる一助となり、また少しでも今後の里山保全に役立つものになればと願っています。
宍塚の自然と歴史の会・歴史部会 
(まえがきより抜粋)
--------目次----------

■□■ 推薦文・里山ルネッサンス ■□■

中川志郎(ミュージアムパーク・茨城県自然博物館 館長)

■□■ 聞き書き ■□■
  • 大池は私らにとって命づな
  • 幻想的だったどじょうぶちの灯かり
  • 大池に行くと空気がうまかった
  • 草葺のお小屋に昔は皆が集まった
  • 大池で泳ぐと鼻の頭が光ってバレた
  • うまかったはじき芋
  • 今も続く十九夜講
  • ユリ根とともに眠っていた剣型の石
  • まるかばで泳いだカッパたち


■□■ 随筆 ■□■
  • 潅仏会のころ
  • ぬなわ舟
  • その他

■□■ 資料 ■□■

「宍塚大池」空から読む

迅速地図・航空写真・中家村の農産物・大池周辺の土地利用図・家の間取り・小字名地図・集落内の坪の位置・大池周辺の呼び名・宍塚の地名および寺社・宍塚の遺跡・史跡地図・昔の宍塚の地名・年表・会の活動の記録・他


・出版にあたって 
 私たちが歴史部会を発足させてから、1年半たちました。その間、宍塚のかたがたから昔の話をうかがい、それを記録する作業と、宍塚に関する資料集めをすすめてきました。さいわい日野自動車グリーンファンドから助成金もいただけることになったので、冊子にまとめることとなり、1999年11月はじめに出版のはこびとなりました。「まえがき」に、この冊子をなぜつくるのか、部会で話し合った内容がかかれていますのでお読みください。
 私の場合、昔の話を伺いじめたころは、何か雲をつかむようなかんじでした。 
 たぶんあたりまえのことなのに、私にはなかなかイメージがうかばなかったりしました。話題が自分も体験のあるような分野になると、つい身をのりだすのですが、私の大好きなドジョウとりのことでも、その道具について、何度も質問して、やっと納得、というぐあいで、経験のない、農業の実際のようすなど、ちょっとうかがったぐらいでは、わからないことだらけです。たくさん話をうかがう中で、やっと前におぼろな理解だったところがわかって、俄然興味がわいてきたり、だんだん、尋ねたいこともふえてきたというところです。宍塚には、語り伝えていただきたいことがらが、たいへん豊富にあるということがわかりました。 
 私自身の、これまでの最大の収穫は、宍塚ですぱらしいお人柄のかたがたに出会えたことです。どんなことを大事にしてくらして来られたのか、お話のはしばしから人生観を学ばせていただき、「聞き書き」に参加できて本当に良かったと思っています。 
 今回の冊子は宍塚のくらしの歴史を学ぶ入り口のようなものなので、「注」をなるべくていねいに設け、とくに、イラストや写真をふやしました。また、資料編も設けて「宍塚十科(百科はおこがましいので)」をめざしました。資料つくりの中で楽しかったことのひとつは、航空写真の比較です。お話でうかがっていた「大きな木」が森の中にひときわ盛り上がってちゃんと見えていたり、今でもいろいろな環境がモザイク状になっているのが大池周辺の特色ですが、かつては、ほんとうに細かく、市松模様のように林と田や畑がいりくんで配置されていたことが一目瞭然にわかったりします。また、私は、年表作成の担当となったのですが、宍塚から日本全体の動きをながめ、全国の動きから宍塚をみる―カメラのズームのようなかんじで歴史をみる楽しさをあじわうことができました。また、以前の土浦周辺の洪水の多さ、伝染病流行の多さには驚かされました。 
 それにしても、この30~50年という時期は、何だったのでしょう。暮らしが本当に急速にかわりました。生活はたいへん便利になりました。いろいろな楽しみに使える時間もふえたはずです。それだけ、ゆたかな人生をおくることができるはず、なのですが、そうなっているかどうか。季節ごとの自然のめぐみや、村の行事を楽しみにし、大人たちの仕事の手伝いもしながら暮らしていた子供たちの生活の変化も気になります。はだしで歩けたという林、今は全く姿を消した生物の数々にまた出合うことは可能でしょうか。 
 この冊子で、皆さんも、一昔前の宍塚のようすに触れ、今後の里山のこと、くらしかたのこと、など、ともに考えていただければと願っています。
 歴史部会では、これからも、聞き書きをさらにすすめながら、宍塚の歴史の理解を深めていきたいと考えています。興味のあるかたはぜひ、参加してください。宍塚のかたがたには、引き続き、ぜひ、ご協力、ご教示をよろしくお願いいたします。 
宍塚自然と歴史の会 歴史部会 Ab

 この冊子制作・出版にあたり「日野自動車グリーンファンド」から助成を受けました。 

 

0 件のコメント: