続 聞き書き 里山の暮らし


続 聞き書き 里山の暮らし 土浦市宍塚 発刊 A5版334
2005年2月25日発行

目次
聞き書き編
「人間は働かないと後ずさりする」
「菓子、酒、何でも売っていた」安藤商店
「馬牛も動かなくなって寝っちゃうんだ」険しかった昔のオオサガ
「砂ごとさらさら出ていた」五斗蒔谷津の清水
「茶飲み茶わんくらいの太さがあった」大池の鰻
「魚とりにいくべ」といえば、「はいよ」とみんなくっついて
テーマ編
農業用水、山、谷津田と稲作、畑と作物、住、食、衣、年中行事、動植物
佐野筑峰さんの短歌、俳句
資料編
航空写真から見た宍塚の変化、大池周辺の土地利用図、小字名地図、集落内の坪の位置、大池周辺の呼び名、宍塚の地名および寺社、年表
コラム
馬喰、牛馬荷車から耕運機へ、お小屋
      
まえがき
  • 土浦市宍塚大池の池の周りにある約100haの緑地は、関東平野では稀な広さで残る里山です。心和む風景、多くの生き物たちとの出会いを求めて、近年訪れる人がふえてきました。
  • ここには旧石器時代から各時代の遺跡、古墳などがたくさんあります。何千年にもわたって、人々はこの地の自然を活用して暮らしてきました。里山は人間と自然が一緒に作り上げてきた歴史的な文化財です。
  • 私たちの会は1989年に発足以来、観察会、生物の調査、林や谷津田などの保全活動などとあわせて、地元の方々から昔のことを伺ってきました。暮らしも農業も急変してきた中で、近年の状況を、まず知ることが急務と考えたからです。そして、1999年に「聞き書き 里山の暮らし 土浦市宍塚」の冊子を発行し多くの方々にお読みいただきました。  
  • その後も宍塚のお宅を訪問したり、地域を案内していただいたり、道端で質問に答えていただいたり、多くの方々からお話を伺ってきました。今回、その中の数人の方々についてお話をまとめさせていただく一方、これまで皆さんからお聞きしたことをテーマごとに整理してみました。
  • 聞き書きをすすめるにつれて、私たちの宍塚を見る目は変化しました。たとえば、今は草原になっている池の南側の五斗蒔谷津を見おろすと、お嫁さんたちの田植え姿、赤ちゃんの泣き声など、人々がそこで働いていたころの谷津田風景を思い浮かべるっことができるようになりました。昔を知るということは、目の前に見ている三次元の景観に時間軸を加えて四次元の世界に入ることです。それは、今を位置づけ、未来を展望するのに役立つと思います。
  • 農業と暮らしに欠かせなかった里山の存在価値が、いったん失われたかに見えましたが、今、また新たにその値打ちが見出されはじめています。
  • 大切にしていくべき里山の宝は何なのか。これからどのような里山にしていくのか。地元、市民、行政などおおぜいの人たちで考えていかなければなりません。その際、昔の里山、暮らしや農業についての共通認識は欠かせません。そのための一助としてこの冊子を多くの方が読んでくださることを願っています。
  • この冊子の中のお一人ずつのお話は宍塚の数十年間、そこに暮らす○○さんという、時空両面のいわば定点の記録です。そこからは多くのことが見えてきます。
  • 数十年前までの農業労働の厳しさ。小作制度、家族制度。戦中戦後の時期の苦労。今の暮らしにいたる努力、がんばり。たくさんの技と知恵。里山の幸。豊かな文化。人々のつながり。一人一人の誇り。
  • この定点の記録を、里山の問題だけでなく、これからの暮らしや農業、自然と人間、人の生き方、社会のありかたを考えるのに役立てていただけたらと思います。


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